開国の父 老中・松平忠固

【922】第8話 C2 『交易方針』≫

○江戸城・大広間
大勢の幕臣が列座している。
堀田が書状を読み上げている。
その横に目をつむりながら阿部。
牧野ら老中陣、下座には、水野、川路ら官僚陣が座っている。
堀田「本邦において、航海の厳禁を変革し、外国へ船舶を差し向け、交易互市の利益を以て、富国強兵の基本を成し、今の時勢にかないしかるべきやに候」
静まり返る場。
ガヤガヤと話し声が沸き起こる。
水野「・・・」
真剣なる表情の水野。
一方で、穏やかな表情の川路。
一同の反応を見ている堀田や阿部。
阿部「現在下田にアメリカ、長崎にオランダ船が来航している。函館にはロシア、そして程なくイギリス・フランスもやって来るだろう。これらの国々はこぞって交易を求めてきている。緩優交易は世界万物自然の潮流であり、日本国がただ一国で鎖国を守ろうにももはや存続することはできない。これに固執すればこれら強国数か国と戦になる」
一同、静まり返る。
阿部「そうであるならば、思い切って航海の厳禁を変革し、こちらからも外国に船を派遣し、交易互市の利益を以て、富国強兵を進めるのだ」
うんうん頷く堀田。
声「緩優交易・・・」
声「交易互市・・・」
一同、決意に満ちた表情。
阿部「航海の伝習は始まったが、長崎でオランダ人に教わるよりジャワなど海外に留学した方が早い。留学生の派遣も考えている」
一同「・・・」
さすがにガヤガヤとなる。

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

開国の父 老中・松平忠固

PAGE TOP

© 開国の父 老中・松平忠固史 2024 All Rights Reserved.