開国の父 老中・松平忠固

【956】第10話 C4 『もう一つの勅許』≫

○御所・玉座
帝に謁見している堀田。
玉座手前には関白と太閤。
にらみ合う九条と鷹司。
帝「今回の騒動、まさに前代未聞じゃ。このような混乱が起きた以上、条約勅許を下ろすことはとてもできぬ」
堀田「な、なんですって」
九条を見る堀田。
目をそらす九条。
くくくと笑う鷹司。
かっとなる九条。
九条「鷹司太閤はん、何を笑われるか。卿の元来の主張であった開国が拒否されたのじゃ。そなたの意見が否定されたのであるぞ。卿の汚点じゃ」
鷹司「くくく、知らぬは九条関白ばかりなり。関白さんこそが勅許容認を主張されたではないですか。臣は帝の意をくみ、始めから勅許反対を主張しておじゃりました」
九条「ぬ、なな、なんと。よくもまぁ、節操のない」
帝、また呆れて
帝「やめよ」
堀田「・・・」

帝「備中守、申し訳ない。勅許なしではお困りであろう。将軍継嗣の勅命をしたためたので受け取られよ」
堀田「将軍継嗣の勅命・・・」
帝から九条に渡される勅書。
九条「急務多端之時節、養君御治定、西丸御守護、政務御扶助ニ相成候ハ、御にぎやかにて御宜被思食候」
堀田「にぎやかにて・・・」
鷹司「にぎやかにて・・・、おかしいぞ、そこは年長で英傑で人望のある者となっていたはずだ」
九条、クククと笑う。
鷹司「や、やりはりおりましたな、九条はん」
九条「はて、何のことやら」
帝「・・・」
堀田「・・・」
堀田、さすがに怒る。
堀田「お待ちください。条約問題は待ったなしです。勅許が下りない、ということなら致し方ない。しかし、公儀はこの神州を守る責任があります。戦を回避するためにはこちらで判断する場合もあります。そのことはご理解して頂きます。御免」
出ていく堀田。
あーあ、怒っちゃったという顔の九条と鷹司。

 

 

 

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