開国の父 老中・松平忠固

【801】第1話 A1 『アヘン戦争』≫

○海上
海上を進む大艦隊。
はためく大英帝国旗。
岸の周辺には三国志の時代のような小型の船が無数に並んでいる。
小船や陸上には、清国の旗。
小船や陸上から大砲や矢が放たれているが、全く届いていない。

 

○艦隊・外観

 

○同・艦橋
英国軍人たち。
司令官「全艦艇、左舷回頭。全砲門開け。距離3200ヤード。照射角11度」
大砲が次々とセットされていく。
士官「ウェルズリー、ブロンド、メルビル、ブレンハイム、ボレジ、ドロイド、各旗艦砲撃準備完了。各艦隊フリゲート砲撃準備完了、全艦砲撃準備完了」
士官B「全艦砲撃準備完了」
前方の小船の艦隊、陸の要塞。
にやりとする司令官。
司令官「ファイアー」
士官「ファイアー」

全砲門から発射される射撃。
ものすごい轟音と煙。
高々と宙に舞う無数の弾丸。
ヒューという音と共に、陸地にまさに雨のように降り注ぐ。
木の葉のように次々と沈んでいく中国船。
陸地はたちまちにして大爆発と爆炎で満ち満ちる。
次々破壊されていく地上の砲台や要塞。
圧倒的な火炎により艦隊や陸上はあっという間に沈黙していく。
司令官「全艦湾内に向かって微速前進、上陸艇用意」
艦隊が火と煙に包まれている陸地に向かって前進していく。
続々と下ろされる上陸艇。
『清国・広東』
無数の小艦艇が陸地に向かっていく。
『西暦1840年(天保11年)6月28日』
N「西暦1840年(天保11年)6月28日。産業革命によって蒸気機関などの圧倒的な科学力を身に着け東洋に進出した超大国・大英帝国は、インドを植民地化した後、次のターゲットとしてチャイナ、当時の清国を狙いに定めていた。この日、アヘンの取引を清国が拒否したことが発端となり、戦争が勃発する。アヘン戦争である」
上陸していく英国軍。
N「アヘン戦争は当時の日本にとっても大きな衝撃を以て迎えられた。古来より揺るぎないとされてきた東洋随一の大国が野蛮としてきた西洋のそれも小さなただの一国に圧倒的に敗北したからだ」
街を蹂躙し、行軍していく英国軍。
5列縦隊で、非常に直線的に行軍していく。

 

○日本(早朝)
薄暗い中、富士山が見える。
薄暗い森。
守の中にある御堂が見える。

 

○森の御堂
母音が複雑に絡んだ音色が漂う中、神楽が舞われている。
英国軍の直線的な動きとは対照的に、円の動きでクルクルと舞っている。
舞っているのは3人の巫女。
美しく荘厳な舞い。
朝日が昇ってくる。
朝日に照らされる富士山の姿。
朝日によって、御堂に舞っている3人の巫女のほかに、もう一人男がいるのが分かる。
男の後ろ姿。
巫女がしゃがみ込み、舞いが終わる。
男、一礼して立ち上がる。
初めて男の顔が明らかになる。
松平忠優(後の忠固)(28)。
朝日に照らされたりりしい顔。

 

『日本を開国させた男/日米和親・修好通商条約締結物語』

 

 

 

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