開国の父 老中・松平忠固
【814】第1話 D2 『クルシウス』≫
○長崎港
各地に軍艦が来航している。
N「異国船の来航は天保年間が終わっても続いていた。弘化2年(西暦1845年)3月には米国マンハッタン号浦賀入港、7月には英国サマラン号長崎入港、弘化3年4月英船でベッテルハイム那覇上陸、5月仏国セシル提督長崎来航、閏5月米国東インド艦隊司令長官ビットル浦賀で通商要求。忠優が海防掛に就任するや否や米船プリマス号北海道漂着、5か月後には英軍艦マリナー号浦賀来航」
浦賀に来航した英国軍艦。
『マリナー号』
マリナー号の甲板に英国人艦長の後ろに立っている中国人の格好をした男。
中国人の格好をしているが音吉(30)だというのが分かる。
○長崎・出島
オランダ国旗が掲げられている出島。
洋式軍艦から一人の男が降りてくる。
クルシウスである。
N「そんな中、一人の男が来日する。オランダ商館長として新しく赴任してきたヤン・ドンケル・クルシウスである。クルシウスはアメリカのペリーが大艦隊で来航すると予告、その期日は嘉永6年4月ということだった」
○評定の間
阿部、忠優、牧野の老中陣、若年寄陣が会議を行っている。
若年寄A「もう本日で5月も終わり、そういえば結局メリケン国の大艦隊とやらは来ませんでしたな」
若年寄B「しょせん南蛮人の言うことなどあてにならんということじゃ」
若年寄C「大船の建造や大砲の整備など見送って正解でしたな。さすがは牧野様」
牧野「うむ」
若年寄A「この財政難の時勢に無駄遣いは厳禁ですからな」
若年寄B「そういえば、南蛮の言うことを盲信し、来る来ると騒いでおった御仁がおられましたな」
皆が白い目で忠優を見る。
忠優「・・・」
無表情の忠優。
阿部「・・・」
忠優を心配そうに見る。
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