開国の父 老中・松平忠固

【823】第2話 B3 『水戸御老公、登場』≫

○日本の大自然
緑に包まれた山々、タカなど鳥や狐たち。
森を流れる清流、滝。
タカが偕楽園を眼下に見ながら、神社を訪れる。
佇む鳥居。

 

○大神宮・外観
茨城県水戸市大神宮。
神楽殿にて奉納が行われている。

 

○神楽殿
水戸藩士が並んで座している中、巫女による剣舞の神楽が奉納されている。
剣を持ちながら回転剣舞する巫女。
雅楽の厳粛な音楽。
藩主と思われる上位の者以下、神妙に神楽を鑑賞している。
舞が終わり、お辞儀をする巫女、そして氏子、退室する。
それに従い、ぞろぞろと退室する藩士たち。
藩主と思われる初老の老人が籠の前まで来る。
『徳川斉昭』
藩主「よし、いくぞ」
駕籠に乗り、大名行列が神宮から出ていく。

N「水戸藩徳川家。紀州・尾張と共に徳川御三家にして2代藩主光圀以来副将軍家と称され、また水戸学を奉じる勤皇家として知られる。ペリー来航時は前藩主だった斉昭が藩政参与として再び実権を握っていた」
弘道館。
勉学している藩士たち。
N「斉昭は藩校・弘道館を設立し門閥派を押さえて藤田東湖や戸田忠太夫など下士層から広く人材を登用、大規模軍事訓練、蝦夷地開拓や大船建造の幕府への提言など藩内外の改革を断行した。また現代でも日本三名園に数えられる偕楽園を造成、『藩士領民と共に楽しむ場』という意を込めて自ら命名するなど多大な業績を挙げる」
偕楽園。
仏教弾圧の様子。
N「一方で行き過ぎた尊王による仏教弾圧や強制隠居事件に見られる藩内保守派との深刻な対立、苛烈な攘夷思想などその荒々しい気性は知らぬ者がおらず、水戸御老公として恐れられていた」

 

○江戸城・外観

 

○同・将軍謁見の間
すだれが巻き上げられた上の段に、将軍・徳川家慶が寝ている。
側には御台所・楽宮喬子と老女・姉小路。
下座に斉昭と正室・登美宮吉子、老女・花野井が謁見している。
小姓らと共に本郷泰固も控えている。
喬子「よくいらして下さいましたね、斉昭殿、吉子」
吉子が喬子に話しかける。
吉子「上様の御加減はいかがなのでしょう、姉上様」
うつむく喬子。
斉昭「・・・」
寝ていた家慶が気が付く。
家慶「おお、斉昭殿か」
斉昭「しっかりなさりませ、上様」
顔色の悪い家慶。
N「第12代将軍徳川家慶。16年にわたり在位してきたがこの年体調を崩し、ペリーが日本を離れた10日後に61歳で薨去している。家慶の正室・楽宮喬子と斉昭の正室・登美宮吉子は姉妹であり、また喬子の老女・姉小路も吉子の老女・花野井と姉妹という間柄であった」
家慶「わしはもうだめかもしれん」
斉昭「何を言われるか、上様。そのような弱気なことでは困りますぞ」
家慶「ふふ、そちの豪気、元気が出るぞ」
起き上がろうとする家慶。
家慶「すまぬな、喬子」
喬子が家慶を抱きかかえる。
家慶「我が国が存亡の危機にあるというこの難局に何たる様。後に残す者達だけが気がかりじゃ」
斉昭「不肖この斉昭がきっと異人どもを木端微塵に粉砕して見せまする。また腑抜けた幕閣どもに激しく喝を入れ性根を叩き直しまする」
下座に控えている本郷。
本郷「・・・」
家慶「・・・。伊勢らもよくやっている。彼らを助け・・・。ゴホゴホ」
倒れこむ家慶。
皆「上様!」
喬子「う、上様、御無理をなさらぬように」
看病する喬子。
姉小路「これ以上は上様のお身体が」
頷く斉昭。
再び横になり小康状態に陥る家慶。

 

○廊下
廊下を歩く斉昭・吉子・花野井。
斉昭「花野井」
花野井「は」
斉昭「話がある。後で姉小路と会ってくれ」
花野井「はい」
斉昭「それと東湖」
お付として後ろに仕えていた藤田東湖。
東湖「は」
斉昭「すぐに老中陣と面会の都合をつけい。すぐにじゃ」
東湖「は」
決意の表情の斉昭。

 

 

 

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