【862】第4話 D2 『日米和親条約、締結』≫
○ポーハタン・会議室(夜)
ペリー、アダムス、コンティなど幹部が集まり、協議をしている。
アダムスの報告をペリーが足を組みながら聞いている。
コンティ「第一条、アメリカ合衆国と日本帝国の間には、完全なる平和と和親が存するものとする。第二条、下田港と函館港はアメリカ船舶を受け入れ、薪水・食料・石炭・その他必要な物資の供給を受ける。支払いは金銀をもって行う」
アダムス「通商という文言はないですが、どのようにいたしますか、提督」
ペリー「うむ。物資の供給とそれに伴う支払ということは交易であることに相違はない。通商条約は後任の者に任せるとして、今回はこれで充分だと判断する」
アダムス「了解」
コンティ「第三条、合衆国の船舶が座礁・難破した場合、日本はこれを救助する。第四条、遭難民は監禁されてはならないが公正な法律には従う」
アダムス「公正な法律には従うという文言はいかがでしょう」
ペリー「気にはなるな。我々が言っているのはあくまで正義なる法には従うという意味だが・・・」
アダムス「そこも気になりますが、問題はその次、第五条、下田と函館に一時居留する合衆国民は一定範囲内は自由に赴くことができる、という部分でしょうな。これは今もって彼らは反対するでしょう」
ペリー「そうだな」
ペイプをくゆらすペリー。
○神奈川宿・応接役会議室(夜)
林、井戸、伊澤、鵜殿の4人が協議している。
林「その他必要な物質の供給・・・、それでは向こうが必要だと言えば際限なく物資を提供しなければならなくなるのではないか」
井戸「・・・」
林を横目でにらみつける。
井戸「これは伊勢守様直々の文言、ここについては異を唱えるわけにはいきますまい。ご懸念があるなら第六条として、必要とする物品は両国で慎重に審議する、第七条、物品と金銀との交換は幕府の規則に従い行う、第八条、物品の調達は幕府役人の斡旋によってのみ行う、と付け加えればいかがかと」
伊澤「なるほど、それならきゃつらがいくら必要といってもこちらが全て制御することができますな」
林「うーむ」
なかなか首を縦に振らない林。
井戸「・・・」
林に警戒感がぬぐえない井戸。
○江戸城・老中部屋(夜)
岩瀬が阿部、忠優、牧野、乗全に報告している。
岩瀬「そして、第九条は例の最恵国待遇。第十条は下田・函館以外の渡来は認めない念押し、第十一条は必要に応じて条約調印日より18ヶ月以降に下田に駐在官を置く、最後に第十二条、この条約を順守する」
牧野「下田に駐在官を置くなど無理なことでは」
乗全「必要に応じてとあるなら、必要でないとすればよいだけで、それほど心配することはないのではないか」
腕組みをし考え込んでいた忠優。
忠優「総じて結構ではないか」
目を閉じ考えていた阿部。
阿部「これでいけるか」
○横浜・応接所
『嘉永7年(西暦1854年)2月26日』
ペリーらと林・井戸らが相対して交渉している。
N「この日、ペリーは今回の来航における3回目の上陸を果たし、大詰めの協議を行った。協議の結果、薪水・食料・石炭・その他必要な産物を供給し金銀で支払うこと、開港地は長崎を除外し函館と下田を開港地をする条約の骨子が決まった」
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