開国の父 老中・松平忠固

【868】第5話 A4 『密書』≫

○江戸城・溜間
上座に直弼、下座に本郷が座り、話を聞いている。
直弼「本郷、いつ上様にお会いできるのだ。上様ご就任以来お会いしたことがない故、ご挨拶を致したいのだ」
本郷、平伏する。
本郷「申し訳ございませぬ。なかなか上様もご体調がすぐれぬ上、人にお会いになるのを好まぬお方ゆえ」
直弼「うーむ。人にお会いにならないとは、老中どもはどうなのだ。伊勢や伊賀はお会いしているのか」
眼光鋭くなる本郷。
本郷「阿部様以外はおそらくまだ2度しかお会いしておらないはず。阿部殿は立場上ご報告があるので数度お会いなされています」
直弼、扇子をばしばし腿に叩く。
直弼「どうしてもお会いしてお話しする儀があるのだが、仕方がない。書状をしたためたので上様にお届け願いたい」
書状を小姓に差し出させる。
別の小姓が木箱を差し出す。
直弼「付け届けじゃ」
本郷「・・・」
少し躊躇するが、無表情に平伏する本郷。
直弼「うむ。頼んだぞ、本郷」

 

○江戸城・外観
月に照らされる江戸城。

 

○江戸城・御側衆控室(夜)
行燈の明かりで書類を整理している。
直弼から預かった書状。
開いて中身を確認する。
本郷「!」
驚く本郷、冷汗が出る。
書状を閉じ、考え込む本郷。

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

開国の父 老中・松平忠固

PAGE TOP

© 開国の父 老中・松平忠固史 2024 All Rights Reserved.