開国の父 老中・松平忠固

【966】第11話 B2 『商談』≫

○江戸城・庭
忠固と紀州家老、会津藩主・松平容保(22)が茶席を開いている。
家老「我が殿・慶福様がご継嗣に内定するに当たっては伊賀守様には格別のご高配を賜り・・・」
忠固「ご継嗣は上様がお決めになられた事。我は関係ござらぬ」
家老「そうは言っても井伊掃部頭様を御大老に推挙されたのは伊賀守様と聞いております。それが何よりのご尽力の・・・」
忠固、面倒くさそうに
忠固「そんなことより、交易です。交易が開始されるとなると、当然売る物を用意しなければならない。紀州藩にはぜひ物品の準備をしてもらいたく」
家老「え、は、はい。それは用意は致しますが、本当に売れるのでありましょうか」
忠固「それはやってみないと分かりませぬ。我も初めてなゆえ。しかし、清国の交易の状況など研究して予想はつきます。いけるはずです」
容保「我が会津にも声をかけて頂き、誠にありがとうございます。我が会津も物品は用意いたしますが、私は向こうの物品を手に入れたい。蒸気機関車ですか・・・、あれには本当に驚きました」
忠固「容保殿はお若いからご興味があられると思っておりました。よし」
忠固、合図を送る。
合図に従い、男が下の座に現れる。
平伏するその男は撰之助。
忠固「この者は中居屋重兵衛。この男は商人でありながら蘭学を学んでおりますので、上田・信州の物産はこの者に売買させる予定です」

撰之助「中居屋重兵衛にございます。紀州ご家老様、会津様、以後お見知りおきを」
家老「お主は蘭学ができるのか」
容保「うちの家中には蘭学ができる商人はおるまい。ぜひ我が物産もお主の所で頼む」
撰之助「はは。かしこまりましてございます」
顔を上げる撰之助、忠固を見る。
忠固、にこっと微笑む。

 

○同・廊下
廊下を直弼と脇坂が歩いている。
庭に忠固らを見つける。
直弼「む・・・」
脇坂「伊賀殿に紀州家老、会津殿ですな」
直弼「何をやっておる」
脇坂「おそらく交易の話ですな。通商条約を締結したら自藩の物産を売りさばこうというのでしょう。まったく浅ましい。守銭奴ですな、あやつらは」
直弼「自藩の物産を・・・。わしにはないぞ」
脇坂「は?」
勢いよく踵を返し、歩き去る直弼、悔しそうな顔。
直弼「・・・」

 

 

 

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