開国の父 老中・松平忠固

【831】第2話 D3 『ペリー、離日』≫

○サスケハナ・艦橋
副官のコンティとペリーがいる。
コンティ「提督、本日本当にこの国を離れるんですか。来航してまだ9日しか経っておりませんが」
ペリー「ああ」
コンティ「母国からの指令で戦端は開けませんがもう少し圧力をかければ、この国の門戸は開かれるようにも思えますが」
ペリー「いや、かつてのように軽々しく大砲を撃ってこない。一見おとなしいように見えるがその奥底にはものすごいエネルギーが充満しているように思える。それらを抑え込んで平然と交渉に臨んでいる今の政権、侮れぬ」
副官「・・・」
ペリー「日本国皇帝宛の大統領国書を日本帝国に受け取らせたのだ。まずは第一回訪問の目的は十分に果たせた。相手も検討する時間が欲しかろう」
副官「はい」
考え込むペリー。
ペリー「(実際には1か月以上滞在する食料を持ってきていない。交渉が長引けばこちらが圧倒的に不利だ。それに贈物を積んでいるバーモント号も到着していない)」
下で歓声が上がっている。
測深から戻ったボートが収容されている。
コンティ「士官や部下たちは日本人の気質や国土の美しさに有頂天になっておりますな」
それらを眺めるペリー。
ペリー「(実際どこを見てもこれほど絵のように美しい景色はないと言えるほどで、艦上にいる者でさえ周囲の海岸を眺めて飽きることがない)」
美しい海岸線。
山々の美しい緑。
ところどころ見え隠れする村々。
流れる小川。
ペリー「(高度に耕された土地が至る所にあり、あらゆる草木は深く豊かな緑をたたえている。無数のつつましい村々が入り江の奥の林に見え隠れして、それが湾の単調さを破り、小川が丘陵の緑の斜面を流れ落ちて静かに草地をうねる。それらすべてが一つに調和して、美しく、豊かで幸福な景観を作り出す)」
見とれている船員たち。
思わず微笑むペリー。
気を取り直し、
ペリー「よし、艦隊全艦発進準備。行先は香港、その前に琉球に立ち寄る」
コンティ「はっ」
ボッボーと汽笛が鳴る。
発進していくペリー艦隊。

 

 

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