開国の父 老中・松平忠固

【886】第6話 B2 『石川島造船所』≫

○石川島造船所・全景
造船所の風景。
『水戸藩・石川島造船所』
建造中の洋式帆船船が見える。

 

○同・内
建造中の船をを見学している阿部・忠優・斉彬・慶永ら。
説明している斉昭や東湖。
阿部「これが水戸家の洋式船ですな」
斉昭「旭日丸と命名予定である」
慶永「旭日丸、まさに日の丸を掲揚する我が国初めの艦船に相応しい名ですな」
阿部・斉昭「・・・」

東湖、『ごほん』と咳払いをしつつ
東湖「竣工は鳳凰丸に後れを取ってしまいましたが、大きさも大砲の数も鳳凰丸を上回ります」
西郷が斉彬に耳打ちする。
西郷「殿、旭日丸の大砲は24門も砲眼があるでごわす。わが昇平丸と鳳凰丸は10門です」
斉彬「確かにでかいな。だが、まだこれは時間がかかろう」
西郷「ですな。昇平丸はもう竣工できる状態にあります。それにもう一方も仕上がってきています」
斉彬「うむ、雲行丸か。大型船建造では後れを取ってしまったが、今度はおそらく敵はいまい。我が薩摩が日本初となろう」
西郷「ですな。我が国初の蒸気船建造は」
忠優が船を見ているのを気付く斉彬、忠優に近づき、
斉彬「伊賀殿、いかがですかな、この旭日丸は」
忠優「・・・」
斉彬「まずは幕閣、水戸、薩摩ですが、やがて越前や宇和島、肥前なども軍船を作りましょう。5年で西洋列強に負けない艦隊を作ります。それでも伊賀殿は西洋どもの言いなりになるおつもりですか」
忠優、わずかに斉彬をにらむ。
斉彬「以前はペルリと一戦交えると主張なさっていたではありませぬか。心変わりとは伊賀殿らしくもない。それほどメリケン艦隊が恐ろしいですか」
忠優「・・・。これはこれでよいと存ずる。薩摩殿やご老公ができることをされるがよろしい。このようなことはわが上田のような小藩ではしかも上田には海もない故、できようがない。我は我のできることをするのみ」
斉彬「ほう、伊賀殿のできること、それは何でござるか」
忠優「・・・」
答えない。
一方の阿部や斉昭ら。
阿部、きっと厳しい顔になり、
阿部「この伊勢守、本日は折り入ってご老公にお願いがございます。この軍艦の事業、大砲砲台の建設など、着々と進めてこられましたのもご老公のお力ゆえ。ですが進めなくてはならない事業は山積しております。何卒引き続きご老公のお力を賜りたく」
不機嫌な表情になる斉昭。
斉昭「わしは海防参与を辞任した。もう何もせぬし何もできぬ」
阿部「軍艦や大砲、軍隊を動かす人材を育成せねばなりません。西洋の書物を読解する機関も必要となりましょう。これらの機関の創設はご老公のお力なくしては進めることができません」
斉昭「わしの力なくして進められぬだと・・・。何を調子のいいことを」
阿部「ぜひ軍政参与におつき頂き、西洋式兵器に合わせた軍に変貌させて頂きたく」
斉昭「軍政参与・・・」
まんざらでもない斉昭。
牧野「ぜひにお願いいたします」
斉昭「・・・」
頭を下げる阿部。
斉昭「四はどうした」
阿部「四?」
斉昭「席次四番目はどうしたのか。奴は頭を下げんのか」
あっと気がづく阿部。
阿部「忠優殿にござりますか。もちろん忠優殿も賛成にございまする」
斉昭「・・・」
納得いかない斉昭。
困る阿部、部下を忠優の元に走らせる。
使いから耳打ちされ、忠優、斉昭の方を見る。
斉昭の元に来る忠優。
阿部「いま、御老公に軍政参与就任の打診をさせて頂いたところでござる」
斉昭「・・・」
忠優「・・・」
微妙な間。
阿部が口を開こうとした時
忠優「この伊賀もご老公に軍政参与に就任して頂きたく」
頭を下げる忠優。
斉昭「・・・」
忠優を正視しない斉昭。
忠優「・・・」
阿部「御老公、上様もぜひにと懇諭なされておりますれば・・・」
斉昭「なに、上様が」
阿部「はい。次回ご登城のよしに」
斉昭「うーむ。上様がおっしゃるならお受けする他あるまい。何をするのじゃ」
ほっと息をつく阿部。
阿部「ありがとうございます。まず西洋式の軍隊を育成する講武所、軍艦を操舵する者を育成する海軍伝習所、洋書を翻訳する洋学所を新たに設置いたします。海防局の独立も考えねばならぬでしょう。これはご老公もおっしゃられた強兵策にも即したものです」
斉昭「うむ」
阿部「さらに、最も火急な件としては、北方の防備であります。これについては、堀織部正を函館奉行とし、蝦夷地・樺太の視察をさせております」
忠優「・・・」
阿部と斉昭のやり取りを見ている忠優、無力感に遠くを見る。

 

 

 

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