開国の父 老中・松平忠固

【973】第11話 D1 『継嗣発表』≫

○江戸城・大広間
『6月25日』
大勢の諸侯が居並ぶ中、直弼はじめ幕閣たちが台慮を発表している。
役人「徳川宗家の御継嗣は、紀州慶福様と決定いたした。これは台慮である」
ニヤリとする直弼。

 

○各・屋敷・内
水戸藩邸、尾張藩邸、越前藩邸にそれぞれ謹慎している斉昭・慶勝・慶永。
継嗣発表の報を聞き、怒りに震える
斉昭「おのれ、掃部守・・・」」
慶勝「なんと滅茶苦茶な・・・」
慶永「ゆ、許せん、まだあきらめんぞ」

 

○忠固邸・外観

 

○同・内
石河が病床にふしている。
横で見舞っている忠固と乗全。
石河、忠固らに気付き、起きようとする。
石河「も、申し訳ございませぬ。報告に来た身でありながら」
忠固「何を言うか。病身でありながら役目を果たすとはあっぱれだぞ、石河」
一瞬、にこりとするが、すぐに険しい顔になる石河。
石河「ご、御前・・・、う、上様は・・・」
忠固「安心せい。倒れられたが直に良くなる、との見立てだ。脚気による衝心らしい」
乗全「お主も養生してはよう復帰せい」
石河「ち、違う・・・。う、上様は狙われている。上様が危ない」
顔を見合わせる忠固と乗全。
忠固「では上様は脚気ではなく、毒を盛られた、というのか」
石河「はい。上様自身がお気づきになられ・・・」
ごほごほと咳き込む石河。
忠固「ま、まさかお主も・・・」

乗全「・・・」
言葉が出ない忠固と乗全。
忠固「とにかく、今、本郷も上様のお側を固めるために動いておる」
乗全「わしも老中として目を光らせる。その為に伊賀殿の代わりに老中再任を引き受けたのだ。そうでなければ誰が引き受けよう。不当に罷免させられた伊賀殿の後釜など」
石河、驚く。
石河「え?、ご、御前が罷免・・・」
乗全「条約締結の翌日に登城停止、一昨日に罷免じゃ」
石河「お、おのれぇぇ・・・。よくも上様を。よくも御前を・・・」
忠固「では、台慮は作られたものだと?」
乗全「伊賀殿が邪魔な人間、そして上様がいなくなることで最も利益を得る者・・・」
忠固「・・・」
乗全「・・・」
石河「・・・」
三人とも目星が付く。
忠固「ま、まさかいくらなんでもここまでするとは・・・。こんなことをしたらこの国は・・・」
石河「わ、私が、私が明日登城します。なんとしても上様の御側に」
忠固「貴様は無理をするな」
石河「いえ、やらせてください、そらがしがやらねばぁ・・・」
石河、忠固にすがりつく。
忠固・乗全「・・・」

 

 

 

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