開国の父 老中・松平忠固

【982】第12話 B2 『横浜開港』≫

○横浜沖
進む米国船、湾を抜け横浜沖に入っていく。
向こうから見えてきた港。
大きな桟橋が2本。
大きな税関の建物を中心に向かって右側には巨大な町が出来上がっている。
左側は広大な空き地。
ハリス「おお」
驚くハリス。
副領事のドール
ハリス「こ、これは」
ドール「何を驚いているのです」
ハリス「ド、ドール君、わずか3か月前には何もなかったのだ、この横浜とは何もない寒村だったのだ・・・、夢か幻か。いったいどんな魔法を使ったというのか・・・」
『横浜』
ドール「オリエンタルマジック、東洋の神秘というやつですか」
横浜港を見つめる二人。

 

○横浜・全景
造成されたばかりの横浜港。
そこだけが周囲の自然あふれる風景とは異なり、近代的な雰囲気を醸し出している。
『安政6年(西暦1859年7月1日)6月2日』
来航している船が5隻見える。
N「安政6年(西暦1859年7月1日)6月2日、横浜が開港した。ここに何もない寒村であった横浜の地に日本最大の国際都市が誕生した瞬間だった。この日、アメリカ公使に昇格したハリスとイギリス総領事オールコックが入港した。また商船ではアメリカの副領事E・M・ドールが代理人を務めるオーガスチン・ハード商会のワンダラー号176トンが民間商船の横浜入港第一号となった」

 

○運上所
日本の大きな桟橋のたもとに大きな建物がある。
『運上所(税関)』
運上書の前に水野と堀。
堀「横浜開港日という我が国にとって歴史的な日だというのになんですか、この寂しさは。式典はないんですか」
水野「仕方あるまい。幕閣の顔ぶれも変わり交易推進からは著しく後退したからな。世間は今だ攘夷であるし・・・。それに、そもそもこの開港地でさえまだハリスは横浜を認めておらぬ」
堀「どう出るでしょう、ハリスは。やはりあくまで神奈川を要求するでしょうか」
水野「おそらくな。だが粘り強く交渉するしかあるまい」
堀「む、無茶ですよ。我々二人だけで。外国奉行に神奈川奉行も兼帯ですよ。そもそも外国奉行就任からわずか数か月で岩瀬・井上・永井を解任など狂ってる。大老は正気の沙汰ではない」
水野「声が大きい。そんなことは分かっておる。しかし我らがやらねば誰がやれる。我らは最後の砦なのだぞ」
掘「は、はい・・・。む、商船が接岸したようですな」

 

○波止場
波止場に就いた船から降りてくる二人の英国人、ケズウィックとハーバー。
ケズウィックは冷たい紳士調マフィア風、ハーバーは熊のような如何にも船乗り上がりという風体である。
ケズウィック「ここが横浜か。どこの船だ、我々よりも早くここに到着している商船がいる」
ハーバー「どうやら我々は開港第3着らしいですぜ。第1着はオーガスチン・ハード商会だとか」
ケズウィック「オーガスチン・ハード商会?ああ、なんといったかな、姑息な貴金属商のアメ公だったな」
ハーバー「ドールです。なんでもあのやろうアメリカ領事から副領事に任命されたという話ですぜ」
税関の建物に向かって歩く二人。
ケズウィック「胡散臭いな、なんだ。換金か」
ハーバー「のようです。なんでもこの国は金と銀の換金比率が異様に接近しているらしく、アメリカ領事ハリスはこの前も上海で大量の金と銀を交換しています。ドールを副領事にしたのはおそらくそのためでしょう」
ケズウィック「けっ、しみったれた男だな、ハリスという奴も。地位を利用しての小金稼ぎか」
税関の横まで来る二人。
税関の向かって左側の空き地は、外国人居留地となっている。
水野と堀が2人を迎える。
挨拶もなしにいきなり
ハーバー「日本の役人か」
通訳の中国人が水野と堀に対し
掘「いかにも」
ハーバー「我々は世界を支配する大英帝国のジャーディンマセソン社である。ここが外国人居留地か」
水野「そうだ」
ハーバー「そうか、ではこの居留地を全て我々が買い受ける」
膨大に広がる空き地の居留地。
さすがに驚きを隠せない水野と堀。
堀「そ、そんなことは・・・、できるはずがなかろう」
ハーバー「できない?我々にはできないことなどない、インドやチャイナの状況を知らんのか。こんな小さな島国の一地区くらいどうにでもなるわ」
堀「・・・」
ハーバー「それが東半球最大のグローバル企業ジャーディンマセソンだ、よく覚えておけ」
堀、むかっと来る。
水野「・・・」
水野も鋭くハーバーをにらむ。
恫喝するハーバーをよそに冷静に品定めするようにあちこちを見やるケズウィック。

 

 

 

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