開国の父 老中・松平忠固

【983】第12話 B3 『出発』≫

○神楽殿
五角形をしている神楽殿。
ろうそくの火が揺れる薄暗い部屋の中で、巫女三人が神楽を舞っている。
神秘的であり、妖艶な剣舞の舞。
その美しさは見るものを恍惚とさせる。
舞っている巫女は、忠固の正室・三千と少女のような雰囲気の2人。
やがて2人が下がっていき、三千一人が舞い始める。
巫女が見る視線の先。
その先に座る忠固。
巫女の舞を見ている。
巫女が舞い終えると、その前に歩み出る忠固。
忠固「三千」
忠固、三千と向かい合って座る。
忠固「行こうと思う」
三千「・・・」
忠固「どうだ」
三千、哀しそうな顔で
三千「行ってはなりません」
忠固「・・・」
三千「今生の別れとなります」
忠固「・・・。そうか」
見つめあう二人。
忠固「だが行かねばならぬ。それが男子というもの・・・」
ポロリと三千の頬を伝う一筋の涙。
忠固「この家を・・・、子供たちを頼む」
三千「はい・・・」
忠固、三千を励まそうと微笑みながら
忠固「帰ってこないとは限らん。お主もよく言っているではないか。予知は人の意志の力で常に変わり得ると」
三千、少し微笑む。
忠固「これが本当に最後だ。もし戻れたら本当に引退する。そうしたら一緒に上田に帰ろう」
見つめ合う二人。
忠固、三千を残し神楽殿を後にする。
三千「・・・」
忠固の後姿をいつまでも目で追う三千。

 

 

 

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