開国の父 老中・松平忠固
【154】非常の人、佐久間象山≫
非常の人、佐久間象山
非常の時には、門閥制度の上に安住した地位の高い人は何の役にも立たない。
その制度の下で尊ばれたエートスの人ではなく、その制度を超越するような非常の才が出現しなければならない。
いや、そのような人物しか非常の時を乗り切り、新しい時代を切り開いていくことができないのである。
非常の才とは何か。それは象山でいえば、ペリーのたった4隻の軍艦とその行動を見て一瞬の内に「これはアメリカと戦争したら勝てない」と見抜く観察力と知識である。
いや、すでにそのことをアヘン戦争の情報から判断して「西洋式の軍艦や大砲を作らなければ、日本はアヘン戦争における清国と同じように負ける」と予言する能力である。
忠固が象山を庇護
忠固が老中になり3年、クルティウスがペリー来航を予告する1年前、象山は砲術塾を開きます。
この塾には勝海舟や吉田松陰、坂本龍馬らが入塾します。
主君の真田幸貫が老中を退いた後、江戸での後見役は旧真田領・上田藩主・忠固だったのではないでしょうか。
松陰の密航連座による捕縛の際も、北町奉行は忠固の側近・井戸覚弘でしたので、本来国禁違反は死罪のところ、軽罪に済ませますし、象山と松陰の放免を知らせるため上田藩士2名を松陰の元に送ってもいます。
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