開国の父 老中・松平忠固

【840】第3話 B4 『香港社交界のペリー』≫

○阿部家・外観

 

○同・庭
阿部正弘の再婚の宴が催されている。
にこやかに談笑している阿部。
白むく姿の妻・謐子【しずこ】(16)。
阿部と話しているのは、慶永・斉昭・宗城。
『嘉永6年(西暦1853年)11月11日』
慶永「娘の謐子が阿部殿に嫁ぐなど、まさに感無量じゃ」
斉昭「そうなると、伊勢殿の父が慶永殿になるわけか。そうすると伊勢殿は今後慶永殿には頭が上がらぬな。がっはっは」
宗城「いやはや、誠にめでたい。これでわれらの結びつきもより一層強固なものになるというものである。ははは」
照れる阿部。
談笑している一同。
談笑している阿部や慶永達と離れたところにいる忠優。
忠優「・・・」
華やかな日本庭園の宴の風景。

 

○西洋庭園
日本庭園とは違った華やかさを備えるイングリシュ・ガーデン。

 

○香港
庭園から望む香港の風景。
『香港』
華やかな正装をした西洋人達が社交でパーティをしている。
ドレス姿の女性もいる。
『英国香港総督公邸』
英国香港総督ジョージ・ボンハム卿夫妻、フランス公使ド・ブールブロン卿夫妻、アメリカ国務省ハンフリー・マーシャル弁務官、英国東インド・中国艦隊司令ジェームズ・スターリング卿、フランス海軍提督ド・モンラヴェル卿、ペニンシュラ&オリエンタル社支配人、ジャーディンマセソン社支配人ウィリアム・ジャーディンらが談笑している。
ペリーが入ってくる。
『英国香港総督ジョージ・ボンハム卿』
ボンハム「これはペリー提督、ようこそお越し下さいました」
ペリー「遅くなりまして大変失礼致しました、ボンハム卿。奥様にも」
ボンハム夫妻と握手をするペリー。

ボンハム「提督は初めてですかな、こちらはフランス公使ド・ブールブロン夫妻」
ペリー「初めまして」
『フランス公使ド・ブールブロン卿』
ブールブロン「お噂はかねがね。実は私の妻はアメリカ人でして。ワシントン公使館の参事官だった時に知り合ったのです」
ブールブロン夫人「ペリー提督ですわね。ようやくお会いできましたわ。先日お会いできると思ったら、何でもこの香港よりさらに東方にある島国に行かれたとかですれ違いで」
ペリー「ははは。これは失礼致しました。ですが、準備が整い次第、またその島国に行かねばならぬのです」
ボンハム「どうですかな、日本は。通商に応じますかな」
ペリー「難しいですが、ベストを尽くすのみです」
談笑しているペリーら。
それを遠巻きに見ているスターリング提督、ド・モンラヴェル提督、P&O社支配人とウィリアム・ジャーディン。
『英国東インド・中国艦隊司令ジェームズ・スターリング卿』
スターリング「ペリー提督か。あのバッファローのような男は、東方の日本にだいぶ固執しているようだな」
『フランス海軍提督ド・モンラヴェル卿』
モンラヴェル「たしかに日本と通商条約を締結できれば彼の名は歴史に刻まれる偉業となるわけだが、しかし」
スターリング「そう、しかしこのチャイナがより不安定化し上海で反乱がおきている現状で動くのは如何なものかな」
『ジャーディンマセソン社ウィリアム・ジャーディン』
ジャーディン「アメリカは太平洋航路の開拓を急いでいるのでしょう。現状では彼らの補給・通信はすべてわが大英帝国のペニンシュラ&オリエンタル社が提供しているわけですからな」
スターリング「ま、平民どもはちまちまやっておるがいいわ。我ら英国貴族は高みの見物だ。あのバッファローがやってのけたら権益を頂くのみ」
モンラヴェル「おお、さすがは7つの海を支配する大英帝国、こわい、こわい」
ジャーディン「ん?これはペリー提督にまたさらなる敵がやってきましたぞ」
向こうでペリーに近づく男の姿。
ペリーの後ろから声をかけるマーシャル。
『アメリカ国務省高等弁務官ハンフリー・マーシャル』
マーシャル「ペリー提督。例の件は手配できましたかな」
ペリー「これは弁務官殿。例の件と言うと、わが艦隊の艦船の一部をチャイナに残せ、ということですかな。それならお断りしたはずですが」
マーシャル「ばかな。上海では反乱軍の活動が活発化している。上海在住のアメリカ人の生命と財産が脅かされておる。日本どころではあるまい」
ペリー「反乱と言っても我ら外国が相手ではない。反乱の相手はあくまで清朝である。我らは不干渉、静観するのが最善だと申し上げた通りです」
にらみ合うペリーとマーシャル。
遠巻きに眺めるスターリングら。
ジャーディンが席をはずそうとする。
スターリング「どこへ?」
ジャーディン「バッファローをハンターの手から救いに」
スターリング「ははは、さすがジャーディンマセソン。これもビジネスですかな」
フフフと笑いながら場を離れるジャーディン、言い争っているペリーとマーシャルの側まで来る。
ペリー「おお、ミスター・ジャーディン。ちょっと失礼」
マーシャルを振り切り、ジャーディンに近づくペリー。
ペリーに逃げられ悔しそうなマーシャル。
ジャーディンに嬉しそうに握手をするペリー。
スターリングたちに向かってウインクするジャーディン。
杯を掲げるスターリングら。
ジャーディン「ペリー提督、ロシアが長崎に入りましたぞ」
ペリー「なんですと」
うなずくジャーディン。
ペリー「・・・」

 

 

 

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