開国の父 老中・松平忠固

【938】第9話 C2 『斉彬、京都工作』≫

○鹿児島
噴煙を上げる桜島。

 

○集成館
ガラス製品が製造されている。
ガラス工芸品の紅ビードロ。

 

○反射炉
巨大な2基の反射炉。
鉄が作り出されている。

 

○浜
洋式大砲の演習が行われている。
椅子に座り様子を見ている斉彬。
書状を読んでいる。
隣には西郷。
斉彬「老中を再任された伊賀守殿が慶永殿からの袖の下を断ったらしい」
西郷「本当でごわすか。橋本左内からの連絡では五千両にものぼる黄金だったとか」
斉彬「うむ。掃部守三千両を上回る金子だと慶永殿は自信満々であったがな」
西郷「では、掃部守様の方は受け取ったと」
斉彬「それは分からんが、きっとそうであろうと言っておる」
西郷「・・・。それはどうでしょうか」

斉彬「ん?」
考え込む西郷。
西郷「私はあの方と二度お会いしたことがありますが、おそらくどちらも受け取ってないのではありますまいか」
斉彬、興味深げに
斉彬「ほう、それはなぜじゃ」
西郷「あの方は・・・、そう、卑怯な行いを嫌う方だと感じまする」
斉彬「・・・」
遠くを見て
斉彬「阿部殿が生前言っておったわ。伊賀殿が慶永殿にきつく当たるのは嫌いだからとかそういうことではない。むしろその者を思いやるからこそあえて言ってるのだと」
西郷「・・・」
斉彬「間違っていると思えば、相手に嫌われようとも言ってやる。伊賀殿とはそういう方だと」
西郷、思いやりのある笑みを浮かべる。
斉彬「だからこそ皆から嫌われておる、慶永殿からも嫌われておるとな。はっはっは」
西郷もくすっと笑う。
斉彬「嫌いというか完全に脈がない者に向かっては伊賀殿は口も聞きはせぬよ、例えば掃部守のようにね・・・、などと言っておったなぁ」
西郷「阿部様がそのように・・・」
しばし物思いにふける二人。
鳴り響く大砲の轟音。
斉彬「そうはいっても、いやそうであればなおさら、わしの道は険しいと言ってよい。外様の政治参加という幕政の根本を変える挑戦であるからな」
西郷「御意」
斉彬「西郷、お主、京へ飛べ」
西郷「?」
斉彬「次の舞台は京になりそうだ。左内も京に向かったそうだ。あの者と共に京の公家工作を行うのだ」
西郷「はっ」
ドーンと火を噴く薩摩の大砲群。

 

 

 

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