【801】第1話 A1 『アヘン戦争』≫
○海上
海上を進む大艦隊。
はためく大英帝国旗。
岸の周辺には三国志の時代のような小型の船が無数に並んでいる。
小船や陸上には、清国の旗。
小船や陸上から大砲や矢が放たれているが、全く届いていない。
○艦隊・外観
○同・艦橋
英国軍人たち。
司令官「全艦艇、左舷回頭。全砲門開け。距離3200ヤード。照射角11度」
大砲が次々とセットされていく。
士官「ウェルズリー、ブロンド、メルビル、ブレンハイム、ボレジ、ドロイド、各旗艦砲撃準備完了。各艦隊フリゲート砲撃準備完了、全艦砲撃準備完了」
士官B「全艦砲撃準備完了」
前方の小船の艦隊、陸の要塞。
にやりとする司令官。
司令官「ファイアー」
士官「ファイアー」
【872】第5話 B4 『豆煎り』≫
○江戸城・将軍謁見の間
直弼が将軍の登場を待っている。
謁見がやっとかなったのでうれしい顔をしている。
しかし、そこに通されてきたのが斉昭。
直弼「な・・・」
斉昭「むっ」
直弼、斉昭が来たことに驚く。
直弼「な、なぜ貴殿が。本日はわしが上様と謁見する日でござる。貴殿は時刻を間違っておる」
斉昭も先客がいることに、そしてそれが直弼であることに驚く。
斉昭「なにを藪から棒に。間違って等おらぬわ。ワシも上様によばれて参上したまで」
直弼「そんなことはござらぬ。本日は某が献上した書状に対する御面会のはず」
斉昭「そんなことは知らぬわ」
『ふん』と直弼の隣に座る。
直弼「・・・」
やはり納得できない直弼。
直弼「そんなはずは」
斉昭「やかましい」
直弼「・・・」
動揺が隠せない直弼。
そこへさらに人が通される。
入ってきたのは忠優。
斉昭・直弼「!!」
【871】第5話 B3 『ハウザー砲』≫
○築地演習所
寄贈されたハウィッツァー砲(ハウザー砲)が試射準備をしている。
ドーンと轟音が鳴り、煙が舞い上がる。
阿部、斉彬、宗城、岩瀬らが耳をふさいで立っていた。
斉彬「これが最新の大砲か」
岩瀬「ペルリ艦隊にかなり強引に願い出た結果、渋々ながらも何とか寄贈してもらったものでございます。ハウザー砲と申します」
宗城「ペクサンよりもさらに強力で射程も長いわけか。くっ、こうしてはおられんな」
元気のない阿部。
それに気づく斉彬。
斉彬「いかがされたかな、阿部殿。元気がないようだが」
阿部「いえ、そんなことはござらん」
斉彬「なにか考え事がござったら、なんなりとこの斉彬に申し伝えてもらいたい。阿部殿の為ならできうる限りのことは致しますぞ」
阿部、にこっとして
阿部「それは心強いお言葉。薩摩殿が味方に付いてくれたら百万の兵を得たも同然。大船に乗った気分になりまする」
斉彬「この最新の大砲、蒸気船をも来年中にはこの斉彬、完成させて幕府に献上したいと思っておりまする。はっはっは」
阿部「・・・」
やはり元気のない阿部。
【870】第5話 B2 『懐柔』≫
○富士を望む海岸
○大森・彦根陣中
庭の先に江戸湾が見え、品川台場建設の後始末状況が見える。
忠優と直弼、内藤頼寧(54)が座している。
頼寧「忠優殿、息災か」
忠優「これは内藤頼寧(よりやす)殿、ご無沙汰して失礼しておりまする。夬殿、万代殿もお変わりございませぬか」
頼寧「うむ、元気にしておる」
直弼も不気味に愛想よく
直弼「そういえば、頼寧殿の正室夬殿、継室万代殿は伊賀殿の親類に当たるのでしたな」
忠優「万代殿は妹に、夬殿は従兄弟にあたります」
頼寧「酒井家にはたいへんお世話になっておる。ところで今日、忠優殿に来ていただいたのは他でもない。此度の条約調印であるが、祖法をないがしろにするご公儀始まって以来の愚挙。これを扇動した阿部伊勢守並びに水戸老公に責任を取らせなくてはならないと思っておるのだが」
【869】第5話 B1 『陰謀』≫
○老中部屋
阿部、牧野が膨大な書類をチェックしている。
牧野、その中から一通の書状に目が留まる。
牧野「ん?、これは」
本郷が直弼から受け取った書状。
牧野「間違ってござるぞ。上様への書状が阿部殿宛に来ている」
阿部、牧野の言葉に反応する。
阿部「間違えた?本郷が?」
牧野からその書状を受け取る阿部。
書状の裏を見ると『井伊掃部頭』の文字。
阿部「井伊掃部頭・・・」
書状をあけ確認する阿部。
阿部「!」
その内容に驚愕する。
牧野「本郷がそのような簡単な間違いをするとは珍しいな」
と、阿部が表情が険しくなっているのに気づき、
牧野「伊勢殿、いかがされた。その書状はいかなる内容ですかな」
阿部、平静を装い、
阿部「いえ、大したことではありませぬ。ところで本日は忠優殿はいかがされておりまする?」
牧野「伊賀殿は先ほど掃部頭殿に呼ばれたとかで大森の陣中に行っておりまする」
阿部「掃部頭のところへ・・・」
阿部、一抹の不安がよぎる。
【800】『日本を開国させた男/日米和親・修好通商条約締結物語』目次≫
映画版脚本
本編
ドラマ版脚本
第1話 運命の出会い
A1 アヘン戦争
A2 高島平
A3 出会い
A4 阿部正弘邸にて
B1 渡辺崋山
B2 鳥居耀蔵
B3 蛮社の獄
B4 忠優、寺社奉行更迭
C1 奏者番
C2 鳥居の暗躍
C3 意気投合
C4 忠優、老中就任
D1 水野忠徳、登用
D2 クルシウス
D3 黒船現る
D4 ペリー艦隊
第2話 黒船来航
A1 ペリーの決意
A2 幕府の対応
A3 大砲、発射さる
A4 初日の夜
B1 象山、丘の上から
B2 初交渉
B3 水戸御老公、登場
B4 アメリカの要求に対し
C1 対決
C2 交戦論
C3 決断
C4 国書授与式
D1 米国国書全文
D2 松陰、密航決意
D3 ペリー、離日
D4 見送る忠優
【993】『日本を開国させた男/日米和親・修好通商条約締結物語』人物表≫
人物表
松平伊賀守忠優(39)老中・上田藩主・忠固に改名
阿部伊勢守正弘(33)老中首座
牧野忠雅(54)老中・阿部を補佐
松平乗全(58)老中・忠優を補佐
井戸覚弘(47)長崎奉行・忠優側近
石河政平(49)勘定奉行・忠優側近
マシュー・ペリー(59)米国艦隊司令
徳川斉昭(60)水戸御老公・一橋派
松平慶永(30)越前藩主・一橋派
井伊直弼(38)彦根藩主・南紀派
徳川家定(30)第13代将軍
本郷泰固(50)将軍側役・阿部派
堀田正睦(51)阿部の後の老中首座
水野忠徳(42)外国奉行・忠優派
井上清直(46)外国奉行・忠優派
岩瀬忠震(38)外国奉行・阿部派
佐久間象山(42)松代藩士・忠優派
吉田松陰(30)象山の弟子
長野主膳(42)彦根藩家臣
三千(28)忠優正室
八木剛介(44)上田藩士
ハリス(53)アメリカ領事
島津斉彬(51)薩摩藩主・一橋派
篤姫(24)将軍家定夫人・斉彬の娘
滝山(39)大奥年寄・紀州派
孝明帝(27)第百二十一代天皇
九条尚忠(60)現関白
鷹司政通(63)太閤・前関白
中居屋重兵衛(38)真田出身商人
中居屋重右衛門(39)上田出身商人
ケズウィック(30)英国商人
ハーバー(41)英国商人
波松(35)英国企業代理人
【804】第1話 A4 『阿部正弘邸にて』≫
○浜離宮(朝)
日の出。
美しい日本庭園が朝日を浴びて荘厳な眺め。
○運河沿い(朝)
川面に照らされる朝日。
川辺では庶民の早朝の慌ただしい動き。
○阿部邸・外観(朝)
赤ちゃんの泣き声。
○阿部邸・庭(朝)
赤ちゃんを抱えている阿部。
よしよしとあやしながら庭を散歩している。
後ろに付き添う妻・謹子(20)。
【803】第1話 A3 『出会い』≫
○演習場
演習を見ている阿部と幸貫。
向こうに人と話している佐久間象山(30)らを見つける幸貫。
幸貫「阿部殿、あれにいるのが佐久間でござる」
象山に近づいていく幸貫と阿部。
そこには象山、川路聖謨(40)らが談笑している。
幸貫に気づく象山、川路、礼を取る。
T『佐久間象山』
T『川路聖謨』
象山「これは殿」
幸貫「うむ。忠優殿も一緒でござったか」
一番奥に男がいた。
松平忠優(忠固)(29)である。
【802】第1話 A2 『高島平』≫
○徳丸が原
広い野原に大砲が並んでいる。
周囲には、隊列を組んでいる西洋風な軽装をした兵士たち。
T『天保12年(西暦1841年)5月9日』
丘の上にはお歴々が陣取っている。
T『徳丸が原』
N「天保12年(西暦1841年)5月9日、幕府は江戸西郊の徳丸が原で西洋式軍備の実演演習を行った。これは、アヘン戦争によって清国が大敗を喫したとの情報が入ってくる中で危機感を感じた幕府が、長崎町奉行高島秋帆の西洋軍備についての意見上書を取り入れたことによるものである。ちなみに、この徳丸が原は現在でいうと東京都練馬区の高島平であり、その地名はこの地で実演を行った高島秋帆の名を由来としている」
指揮を執る高島秋帆(43)。
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