開国の父 老中・松平忠固

映画ドラマ脚本

【850】第4話 A2 『ペリーの日本考察』≫

○江戸湾
1月の寒々しい風景の中を進むペリー艦隊。

 

○ポーハタン・外観

 

○同・艦長室
艦長室でペリーが椅子に座り、パイプをふかしながら、読書をしている。
本の表紙には「JAPAN」シーボルト著と書いてある。
ペリーの声「日本。この古のまさにファンタジックな国がポルトガル人によって偶然に発見されたのは1543年の事である。その時すでに2203年の歴史を持ち、106代にわたるほとんど断絶のない家系の統治者の元で一大強国になっていたこの国は、ポルトガル人との接触時期にすでにすぐれた文明を有しており、これはキリスト教の平和的・禁欲的な教えの影響を受けずに到達し得る最高位の文明段階と言える」
外の景色を見るペリー。
日本の山々。
町の風景。
ペリーの声「この国がきわめて進んだ文明を持つ国であることは一目でわかる。幕府の役人は下田など田舎は貧しいと強調するが、家や道路が整然と並び、排水への配備がなされ、排水溝だけでなく下水道もあり、敷石が敷かれ、きわめて清潔である。人々の衛生や健康面への配慮は我が合衆国が誇りとする進歩をはるかに上回っていた。しかもにわかには信じられぬが、江戸の人口は百万人を超えるという。それは我が首都ワシントンの4万人、最大のニューヨーク70万人よりも繁栄しているというのだ」
本をバタンと閉じるペリー。
パイプの煙をけゆらせる。
ペリーの声「日本政府の施策については、前艦隊司令長官ビッドルが今より7年前に漂流アメリカ人捕鯨船員を救出しにこの国に来航した際、劣悪な環境で牢につながれているとして武力行使覚悟であったのに、実際は丁重に扱われていたこと、船員たちによれば軟禁と言ってもきわめて清潔な部屋で、自由に外出できないことを除けばほとんどできないことがなかったと証言していること、などからも推察できるように、日本は統治者の恣意ではなく法により治められているのは間違いない。という観点から、条約を締結すれば必ず遵守されるものと確信できる」
奉行所の様子。
評定の様子。
立ち上がり、艦長室を出る。
ペリーの声「この特異な民族が自らに張り巡らせている障壁を打ち砕き、我々の望む商業国の仲間入りをさせる第一歩、その友好・通商条約を結ばせる任務が最も若き国の民たる我々に残されている」

 

○ポーハタン・艦橋
艦橋に入るペリー。
ペリーを迎えるブキャナン艦長、参謀長アダムス、コンティ大尉。
アダムス「提督、ただいまルビコン岬を通過しました。あれに見えるがペリー島です」
頷くペリー。
ペリーの声「この最古の国日本に、最も若いアメリカが挑戦するのだ」
ペリーがばっと手を前に振りかざし
ペリー「全艦隊、隊列を組み前進せよ。急ぐ必要はない。堂々と行軍するのだ」
真っ黒な船体。
巨大な船体が通過していくと、すぐさまもう一隻が続く。
通過し終えるとまた次の一隻が通過。
旗艦『ポーハタン』
蒸気船『サスケハナ』
蒸気船『ミシシッピー』
『マセドニアン』
『ヴァンダリア』
『サザンプトン』
『レキシントン』
『サプライ』
(『サラトガ』はまだ来ていない)
全艦隊8隻が江戸湾を進行していく。

 

 

 

【851】第4話 A3 『上陸地交渉』≫

○横浜・金沢沖
無数の和船が浮かんでいる。
その和船の先には、立ち並ぶ8隻のアメリカ艦隊。
艦隊を取り囲むように陣取っている。

 

○ポーハタン号・甲板
幕府の役人が交渉をしている。
アメリカ側はアダムスが応対している。
役人「昨日も申した通り、どうか浦賀に戻って頂きたい。応接役も浦賀で待っておるのだ」
アダムス「我々は浦賀には断じて戻らぬ。交渉を行うというなら、再三言っているようにこの停泊地・ウェブスター島の対岸でお願いする」
役人「ウェブスター島?夏島のことか?。この横須賀・夏島沖では対岸と言っても何もないしどうにもならぬ。応接の準備ができるのは浦賀だけなのだ。どうあっても浦賀では納得して頂けぬのか」
アダムス「そうだ」
役人「・・・、分かり申した。では浦賀がだめだというなら、鎌倉を応接地とするのはいかがであろうか」
アダムス「鎌倉?」
隣のコンティが耳打ちをする。
コンティ「参謀長、鎌倉とはあの場所です。12日にマセドニアンが座礁した・・・」
アダムス「なんと」
コンティ「やはり連中は信用できませんな。これは間違いなく罠でしょう。かの地に我が艦隊をおびき寄せ座礁させるつもりでは」
アダムス「むむむ」
役人に向き直り
アダムス「バカバカしい。貴国は我が艦隊を座礁させようというのか。そもそもあれだけ浦賀にこだわっていたのにあっさり別の場所を指定するなど、それでは別に浦賀でなくともいい、ということに他ならぬではないか」

(さらに…)

【852】第4話 A4 『2回目の大評定』≫

○江戸城・大広間
先日と同様の会議。
大勢の大名諸侯が集まっている。
先日と同じ配置で座っている。
牧野「昨年の7月より長崎に来航していたオロシア国は、9日前に出航致しました。徹頭徹尾ぶらかしに徹したのが功を奏した由にござる」
『おお』という歓声。
『ペリーに対してもぶらかしで行けるんじゃないか』などざわつき。
阿部「ペリーに対してもまずぶらかしでいく。しかしぶらかしはあくまで陽動、こちらは戦の一字を覚悟し交渉に臨む、でよろしいか」
斉昭「うむ」
一同、納得している。
忠優「・・・」
直弼「・・・」
無表情の忠優、不満顔の直弼。
阿部「迎撃体制の状況を説明せよ、まずは軍艦について、永井」
下座にいる永井。
むっとする直弼。
永井「はっ。浦賀で建造中の軍艦については作業は順調ですが、完成にはまだ時間を要します。水戸藩・薩摩藩も同様にござりまする。また、長崎でオランダより軍艦の買い付けを行っておりますが、これもすぐという訳にはいきませぬ」
しーんとなる一同。
阿部「続いて台場砲台について、岩瀬」
下座の岩瀬。
岩瀬「はっ。台場の状況でござるが、品川沖に11基建造予定の台場の内、第一から第三、第五、第六が完成。第四も7割ほど完成しており・・・」
直弼、脇坂に目で合図を送り
脇坂「あいやしばらく」
えっとなる岩瀬。
皆、脇坂の方を見る。
脇坂「その者、いったい誰なのでござるか。この場で発言できる者なのでござろうか」
静まり返る場。
岩瀬「わたしは・・・」
脇坂「控えよ、ここは幕閣・有力譜代の評定の場ぞ。最低でも目付以上でないと列席も叶わぬ筈。軽輩が参加できるような会議ではない。このような軽輩がなぜ参加しておる。あまつさえ発言など恐れ多いわ」
平伏する岩瀬、脂汗を流す。
ざわつく場。
ニヤリとする直弼。
阿部「・・・」
斉昭「・・・」
忠優「・・・」

(さらに…)

【853】第4話 B1 『忠優が岩瀬を助けた理由』≫

○江戸城・勘定部屋
うず高くつまれる書類の山。
ものすごい勢いで弾かれるソロバン。
弾いているのは井上清直。
声「この書類はもう終わったのか」
顔を上げる井上清直。
石河が井上を見下ろしている。
無表情のままの井上、眼光鋭く。
井上「御意」
石河「いくら勘定方は身分にとらわれない実力本位とはいえ、この量をこの短期間で終わらせるとはな」
井上「恐悦至極」
石河「さすがは御前が目をかける井上清直よの」
井上、表情を変えず会釈する。
そこへ入ってくる岩瀬。
岩瀬「・・・、御奉行。ちょっとお話が・・・」

 

○同・庭
思い詰めた表情の岩瀬。
岩瀬「・・・。私は分かりませぬ」
石河「なんだ、岩瀬。そちに分からぬことなどあるのか」
岩瀬「・・・。あの方が何を考えておるのか分からないのです」
石河「あの方とは」
岩瀬「御老中・松平伊賀守忠優様です」
石河「・・・」

(さらに…)

【854】第4話 B2 『ペリー艦隊、江戸湾を前進』≫

○江戸城・老中部屋
忠優、阿部ら老中陣が集まっている。
牧野「浦賀に戻れと言っても頑として聞きませぬ。それどころか江戸へ乗り込み、そしてもてなせ、とのこと」
乗全「受け入れますか」
阿部「いや、それは断じてできん。江戸への侵入を許すなどそれだけは断じてできん」
そこへドーンと大砲の音。
あきれ顔の牧野。
牧野「・・・。おそらくあれも空砲であろう。一昨日の空砲はなんでもきゃつらの暦では2月22日、メリケン国建国の父ワシントンの誕生日を祝う祝砲とか」
乗全「一昨日のか・・・。それにしても126発も放つとは。まさしく脅しに過ぎぬではないか。それに今日のも」
牧野「たしかになめられておりますな」
阿部「・・・」
忠優「・・・」
しばらくの間。
ドーンと大砲の音。
阿部「応接場所は浦賀か別の場所か、条約を結ぶとすればメリケンかオロシアか、港を開くか否か、通商まで認めるか否か・・・。これら難題をこの数日で決めねばならぬのか」
忠優「・・・」
乗全に伝令が入る。
乗全「なにー」
皆に向き直り
乗全「メリケン艦隊が動き出しましたぞ。横須賀・夏島沖からこの江戸に向かって接近中とのこと」
牧野「な、いま浦賀で林大学頭らが交渉してるはずじゃ・・・」
カンカンカンと遠くから早半鐘が打ち鳴らされている。
忠優「阿部殿、こうなったら香山を使う。すぐに艦隊に着けさせられる。交渉地はもはや浦賀にはなりますまい。お任せ頂いてよろしいか」
強い決意の表情で阿部を見る忠優。
阿部「・・・。お願いするでござる」
頭を下げる阿部。
立ち上がる忠優。
忠優「香山へ伝令急げ。それに横浜警護の松代藩軍議役・佐久間象山と浦賀の井戸対馬守へも走らせろ」
庭の伝令へ書状を渡す忠優。

 

 

 

【855】第4話 B3 『直弼の茶室』≫

○彦根藩邸・茶室
カコンと鳴る鹿威し。
茶室内にいる直弼と長野。
長野「閣内の主導権は御老公から再び伊賀守に移ったようです」
茶碗に湯を注いでいる直弼。
長野「江戸に攻め入られ、とても戦にならぬと分かった途端に全く動けなくなるとは、御老公も存外情けないですな」
茶碗をかき混ぜている直弼。
長野「羽田まで前進してきたきゃつら艦隊を、横浜まで押し戻したのは伊賀守とのこと。やはりあの方はあなどれませぬな」
直弼「・・・」
長野「これからいかがしましょう」
直弼「・・・」
長野「横浜での交渉役も林大学頭を筆頭、次席に井戸対馬守、以下伊澤、鵜殿の4名となったようです。これもなかなかの人事ですな。林は伊勢様の、井戸は伊賀様の意向を受けておりましょう」
直弼「褒めてばかりおらぬで何か手はないのか」
長野「・・・」
しばしの沈黙。
鹿威しが鳴る。
長野「ここまで来たら交渉の成り行きの中から攻撃材料を見出していく他ありますまい」
直弼「そうだな」
苦虫を噛み潰したような直弼。

 

 

 

【856】第4話 B4 『老中陣の秘策』≫

○江戸城・大広間
3度目の同様の会議。
大勢の大名諸侯が集まっている。
先日と同じ配置で座っている。
忠優「メリケン艦隊は先日、羽田沖まで侵入してきた。そのままそこへとどまり上陸してきたならば、我らは命を賭してそれらを防がねばならなかったであろう。すなわち戦である」
一同、しんと聞いている。
斉昭「・・・」
斉昭も神妙に聞いている。
忠優「だが、我らの働きかけに応じ横浜沖にもどった。そして交渉地も頑なに主張してきた江戸ではなく横浜で了承してきた」
『おお』という安堵の声。
『やはり伊賀殿か』の声も。
阿部「それはすなわち、いきなり我が国を攻め滅ぼそう、属国にしよう、という気ではない、ということに他ならない。アヘン戦争を仕掛けたエゲレスとは確かに一線を画すと見てよい」
一同を見回す阿部。
阿部「となると、いかに交渉によってかの国を退けるか、ということになるが」
扇子をパチンと鳴らし合図する牧野。
最下座に男が現れ平伏する。
牧野「交渉に際し、この者にあたらせようと思うのだが」
皆が平伏している男を見る。
牧野「中浜万次郎でござる」
驚く斉昭、直弼、その他の者達。
斉昭「ちょっと待て。聞いておらぬぞそんな話。万次郎?、ジョン万次郎とか申したメリケンで何年か過ごし戻ったという輩か」
脇坂「ばかな、その者は漁民ではないか。旗本に登用したといっても漁民は漁民、先日の岩瀬などと比べても話にならぬわ」
直弼「な、なにを考えておる、阿部殿」

(さらに…)

【857】第4話 C1 『ペリー上陸』≫

○横浜湾
停泊している9隻のペリー艦隊。
海岸の会見場に向かって日本の大型御座船『天神丸』が進んでいる。
華やかに塗装した船には甲板があり、船体の上には広い天幕が高く張り渡され、三本のマストには吹き流しが翻り、色鮮やかな旗と多彩なとばりが甲板を飾っていた。

 

○ポーハタン・甲板
その様子を見ているペリー。
脇にアダムス参謀長。
ペリー「ほう。でかいな。我が国西部の河川用蒸気船によく似ている」」
アダムス「あれに高官が乗っているようですな。提督、我が方の上陸部隊はどのようにいたしますか」
ペリー「うむ。この国はとにかく儀礼を重んじる。見世物的なものがこの国の人間に及ぼす意義と精神的な影響は甚大だ。部署を離れることのできる全海兵隊員、全軍楽隊、そして全士官に上陸、そして儀式への参列を命じる」
アダムス「了解」
ペリー「隊員は全員盛装、士官はフロックコート、帽子、肩章の軍装。マスケット銃と短剣、ピストルで完全武装せよ」
アダムス「かしこまりました」

 

○横浜湾
艦隊から27艘のボートが五百人の海兵隊員を載せて進む。
そして船が次々と浜に到着する。
見守る日本の武士たち、緊張の面持ち。
上陸した海兵隊員がボートの船首を岸から海に替えている。
他の隊員たちは真ん中に広く空間を置いて方陣形に整列。
埠頭に上陸する士官たち。
マセドニアンが17発の礼砲を撃つ。
礼砲が終わると同時に軍楽隊が軽快な曲を演奏を始める。
曲はフォスター『おおスザンナ』。
上陸した兵士たちの軍装、そして軍楽隊の音楽に息をのむ日本兵たち。
会見場の陰からその様子を見ている井戸。
井戸「・・・」
脇にいる岩瀬、そして万次郎。
岩瀬「・・・」
絶句の岩瀬とは対照的に『おおスザンナ』を口ずさむ万次郎。
それを横目で見る岩瀬。
岩瀬「・・・」
そして、埠頭に着いたボートから降りてくるペリー、上陸する。
横列に整列し直した海兵隊。
ペリーが士官たちを従え埠頭を進む。
曲が『おおスザンナ』から『アメリカ国歌』となる。
アメリカ国歌をバックに、整列した海兵隊の間を悠然と進むペリーを先頭とする行列。

 

 

 

【858】第4話 C2 『初交渉』≫

○応接所
ペリーら一行が応接所に入ると、応接掛の5人は着席していた。
後ろや下座には、多数の従者や侍が正座している。
ペリーらが着席。
しばしの沈黙の後、林大学頭が口を切る。
林「水師提督マツテウセ・ペルリにおかれては、お初にお目にかかる」
通訳から話を聞くペリー。
ペリー「本日の祝いとして、日本皇帝に21発、応接掛に18発、それに初めての上陸を祝してさらに18発の祝砲を打ちたい」
通訳から聞く林、承認する。

 

○横浜表
艦隊から祝砲が打ち鳴らされる。

 

○応接所
57発の轟音が鳴り響く中、黙して聞く日本側。
日本側「・・・」
焦らない様に我慢をしているが、林と井戸覚弘以外の3人他周囲の者は冷や汗を流している。
林は無表情。
井戸は決意の表情。
日本側の表情を確認しているペリー。
ペリー「我が国は以前から人命尊重を第一として政策を進めてきた。自国民はもとより国交のない国の漂流民でも救助し、手厚く扱ってきた。しかしながら、貴国は人命を尊重せず、日本近海の難破船も救助せず、海岸近くによれば発砲し、また日本へ漂着した外国人を罪人同様に扱い、投獄する。日本国人民を我が国人民が救助して送還しようにも受け取らない。自国民をも見捨てるように見える。いかにも道義に反する行為である」
ペリーの主張を聞く日本側。
林「・・・」
井戸「・・・」

(さらに…)

【859】第4話 C3 『機関車、カメラ』≫

○江戸城・執務室(夜)
雲がかった月夜の明かりが差し込む。
阿部と忠優に岩瀬が報告している。
阿部「そうか。第一回目の交渉は無事に終了したか」
岩瀬「はい。やはり想定通り向こうの最重要の主張は薪水・食料・石炭の供給と難破船救助でありました。それについては双方問題ありません。あとは向こうの主張する避難港をどうするか、そして通商はどうするか、の二点です」
険しい顔を崩さない阿部。
それに引き換え、嬉しささえ滲ませる忠優。
忠優「阿部殿、まずは上々の結果ということで一息つきなされ。とにかくここまで来たらもはや8合目じゃ」
阿部「・・・」
忠優の慰労にも緊張を解かない阿部。

 

○応接所・近辺
アメリカ軍楽隊が演奏している。
曲は『ヤンキー・ドゥドゥル(アルプス一万尺)』。
1/4スケールの機関車が設置されている。
向こうでは通信機が設置されている。
興味津々でそれらを眺める日本人。
別の場所では、黒人兵がタゲロ式の写真機を取り出して、象山と乗ってきた馬を映した。
象山が写真機を指さし、オランダ語で
象山「おお、タゲウロライペンじゃな。ちょっと見せてくれ」
と手振りで要求する。
黒人兵、タゲウロライペンという言葉に驚く。
英語でおまえ、知っているのかとか話しかけながら、象山にカメラを渡す。
象山、あちこちを眺めまわしたのち、黒人兵に尋ねる。
象山「これは、種板に使っているのは、イオジウムか、フロビウムか」
ずうずうしい象山、オランダ語だがちゃんと会話が成立している。
黒人兵は驚いて
黒人兵「・・・。フロミウム」
象山「やはりか」
興味が尽きないようにカメラを眺めまわし、部品を分解し始める。
黒人兵「ヘイ」
慌てて象山からカメラを取り返そうとする。
象山「いいではないか」
などと言いながら押し問答が続く。
ぽーっという汽笛が鳴り、向こうでは、完成したミニ機関車が走り出している。
驚いてそれに群がっている日本人。
その中の井戸と岩瀬。
井戸「・・・」
岩瀬「・・・」
初めて見る機関車に声も出ない。

 

 

 

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